【連載】電子ほたる誕生物語(その12)

博物倶楽部の中の人こと島津です。電子ほたるのお話アラカルト、参加できる年齢についてはいろいろなエピソードが出てきます。今回もまた実施側には頭の痛いお話です……

○ 『ゾウ』組の1年生

参加できる年齢に制限を設けることについては前にもお話ししましたが、受付をする立場になるといやになることがあります。

受付するときの学年は本人の申告によるというのが館の決まり(編注;これはどこもそうだと思います)ですので、本人が一年生と言えば一年生になってしまいます。

あるときお母さんと来年は一年生かなと思われる女の子が受付に来ました。お母さんが「参加できるのは小学生以上ですよね」と念を押されましたので、「そういう決まりになっています」とお答えしました。

お母さんが女の子のにむかって「今年はダメだからまた来年にしましょう」と話してくれましたが、女の子の残念そうな顔がかわいそうでなりませんでした。

「ごめんなさいね、博物館でそういう決まりになっているので、一年生になったら来て下さいね」と言うのが精一杯でした。

女の子が帰った直後今度は男の子が受付に来ました。明らかに小学生とは思えない子です。

「こんにちは、ホタルを作りますか」と声をかけると男の子が軽く頷きました。

「では、お名前を教えて下さい」と問いかけると小さな声で「◯◯」と答えました。

「◯◯君ですね、◯◯君は何年生ですか」と聞きますと、返事がありません。

少し間があって後ろから、お母さんのきつい声で

「◯◯ちゃん、一年生って言うんでしょ!」

お母さんの声に押されて男の子が聞こえるかどうかというようなか細い声で「一年生」

と答えましたが、子供としてもウソの申告をするにかなり抵抗があったのでしょうね。

でも、本人の申告制ですから受け付けざるを得ません。整理券を渡しながら

「これが整理券です、工作が始まる5分くらい前までにはここに来て下さいね」といいましたが、直前の女の子のこともあったものですから、つい腹の虫がいたずら心を起こしてしまい

「◯◯君は何組ですか」と聞いてしまいました。

その男の子今度は自信を持って「ゾウ組」と答えてくれました。

「ゾウ組ですか、はい分かりました。時間を間違えないで来て下さいね。お待ちしています」と言って男の子を帰しました。

後ろでお母さんは冷や汗ものだったと思いますが、冷静になって考えると後で男の子がお母さんに叱られているのではないかと心配になってしまいました。

やはり余計なことは言わない方が良いなと反省しています。

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