【連載】電子ほたる誕生物語(第3話)

無事にワークショップの肝となるLEDを見つけた金子さん。次なる課題は……?

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一番大きな問題をクリアしたので次は脚や触覚の材料の選定、普通のエナメル銅線では工作はしやすいものの、ちょっと触るとすぐ変形してしまうのでこれはダメ、鉄製の針金は小さく折り曲げるのには硬すぎて不向きです。

そこで秋葉原の線材専門店へ行き、見本を手で触ってみていくつか見当をつけて、サンプルに各2mずつ5種類ほど購入しましたが、店員さんに変な顔をされました。
本当は1mずつでも良かったのですが、気が引けて2mにしたらそれでもやはりこのお客一体何をするんだろう、といった顔をされました。現在では少量買いでも変な顔をされることはないようですが、当時は材料の問屋へ行って何種類もの材料を少しずつ買う人はあまりいなかったようです。
折り曲げるのが比較的楽でしかも一旦曲げたら容易に変形しない針金、幸いサンプルに買い求めた中に一つだけありました。それが現在使用している材料です。

基本設計ができたのでサンプルを作るため、この線材を買いに行ったとき、後々ボランティア先の博物館で発注するときのこともあるので、正式な品名や仕様を確認するのを忘れませんでした。

ホタルの本体は、博物館の図書室で昆虫図鑑のほたるの写真をベースにして、ディジタル処理で現在のホタルの原型を作りました。
また、脚や触覚も図鑑を参考にしてそれらしく図面化しました。脚や触覚の長さも測定して線材をカットするときの寸法を確定しました(実はこの時2番目の脚の長さの測定をミスし、そのままずっと10年以上間違えた長さで工作していました)。
参考にしたのはゲンジボタルのメス、なぜこれにしたかというと光るほたるの中で一番大きいのがこれだからという単純な理由です、完成品の大きさはコイン電池のサイズによって決まってしまうのでなるべく実物からの拡大率を小さくしたいと思ったからです。

それでも後になって「光るゴキブリ」とあだ名されてしまいました。

材料が揃ったところでコイン電池の大きさに合わせて大小2つ試作品を作るところまでこぎ着けました。
(コイン電池は直径20㎜と16㎜のものを使用)

(つづく)

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