【活動報告】1/11は博物倶楽部結成10周年!!関係者のみなさんに感謝を伝える「楽会」を開催

博物俱楽部は1月11日(土)、結成から10周年を迎えたことを記念し、新宿嵯峨野(新宿区西新宿)で「楽会」を開催しました。これまで博物倶楽部で実施してきたすべてのプログラムの展示を行うとともに、2つのワークショップ体験と、2人のゲストを交えたスペシャルトークを行いました。全体で50名以上のゲストと40名近いメンバーが集い、大盛況で終えることができました。

博物俱楽部、10年分の感謝をみなさまに

2015年の1月11日に公共施設の小さな会議室での、10人ほどの打ち合わせから始まった博物倶楽部。各地の博物館でプログラムを実施したり博物イベントへ参加したりしながら、コロナを挟みつつも途絶えることなく10年間、活動を続けていくことができました。節目にあたって、これまで積み上げてきたことを振り返り、これからを考えるとともに、関わってくださった皆さんに感謝を伝えるお祝いイベントを開催しました。

会場は、西新宿にある居酒屋 嵯峨野さんにお願いしました。一見意外な会場と思われるかもしれませんが、嵯峨野さんのようなレトロな居酒屋はよく見ると店内の装飾に剥製や工芸品が使われている「博物」の話題が豊富な空間ですし、実はこの10年で多くの企画が生まれてきたのは打上げでの会話からでもありました。当日実施したスペシャルトークの内容を振り返ると、結果としてこの会場を選んだことに大きな意味があったのではないかと思います。

※ なお、「楽会」には高校生も参加しましたが、彼らの同席したお昼の時間帯には飲酒はなかったことを、念のため申し添えます。

これまでの集大成!開発した21プログラムをすべて展示

活動を開始した年にはプログラムは2つだけでしたが、10年経ったいまでは21個まで増やすことができました。過去には神保町ヴンダーカンマーで実施した「おとなイベント」や、新宿区立中央図書館での「ちょこっとラボ」などで複数のプログラムを体験できる機会はありましたが、今回初めて全てのプログラムを展示しました。コロナ禍を挟んでなかなか最近は実施できていないプログラムもあり、ご参加いただいた方々はもちろん、メンバーにとっても自分たちの活動を再認識する機会になりました。

また、今回は博物館関係の方や科学コミュニケーター、クリエイターの方もたくさん会場にいらっしゃったので、そうしたみなさんの交流のために、お互いの活動を紹介するブースも設置しました。

博物俱楽部の本領発揮:2つの人気ワークショップ体験

私たちの活動をよりよく知り、楽しんでいただくためには、やはり展示解説だけではなくワークショップ体験が必須!ということで今回は人気のプログラム2つを会場で体験いただきました。

まず1つは博物倶楽部開闢以来の定番企画「水滴顕微鏡」を、大ベテランの大谷が実施しました。高価で手を出しづらい実験器具である顕微鏡を、身近な材料で作ってしまおうという内容で、参加者のみなさんには自分の手で作った顕微鏡で実際に星の砂の観察もしていただきました。

もう1つは直近の大ヒット企画「チリメンモンスター」を、お魚担当久保が実施しました。こちらはきしわだ自然資料館さん発祥で、現在日本各地で実践されていますが、海洋生態系や漁業のお話など博物倶楽部流のアレンジを加えた濃い内容で体験していただきました。

スペシャルトーク「これから博物館の周りで実現したいこと」

10年の節目にこれまでを振り返るだけではなく、「これから何をしていくのか」を、参加者のみなさんを交えて考えて行きたいと思い、今回はゲストをお招きしたスペシャルトークを企画しました。
1人目のゲストは、早稲田大学を拠点にさまざまな博物館に足を運び、現場をサポートしながら学ぶ活動をされている学生団体 早稲田大学博物館支援サークル「ミュゼさぽ」の山口晃生さん。

もうお1人は、「博物館はもっと面白い」をビジョンに掲げ、今よりもっと面白い未来の博物館づくりと、人々の博物館の面白さを伝える活動をしている一般社団法人「路上博物館」の齋藤和輝さん。

このお二方に博物倶楽部代表の島津を交えて、博物館の周縁にいる私たちが、これからの博物館でやりたいこと・できることについてパネルディスカッションを行いました。

トークではなるべく多くの方のコメントを拾っていきたかったこともあり、始まる前の時間に「これから博物館の周りで実現したいこと」を、会場にいる人たちから募り、付箋で模造紙に貼ってもらいました。

こうして集まったコメントから気になるものをゲストのお2人に拾っていただき、そこにお互いの経験や意見を挟みながら、全体で50分ほどのトークになりました。それぞれの団体が実施している活動を見ていくとスタンスや内容は大きく異なるのですが、いずれも「博物館そのものではなく、周縁にある団体」という視点は共通しており、その立場でどのように博物館を盛り上げていくのかを議論しました。
全体としては、博物館がいかにして社会とのはざまに繰り出していくのか、博物館の持つマニアックさとイメージしやすい普段の生活とをいかに組み合わせるかという観点で、博物館と社会が共に新たな価値を創っていくことを目指していきたいというお話になりました(だからこそ、繰り出していく先として、居酒屋は面白い場であったわけです)。

こうした試みを実施するのは初めてだったこともあり、主催者としては会場から意見が集まらないのではないか?とか参加者が聞いていて面白いものになるのだろうか?といった心配をしたのですが、蓋を開けてみれば、会場全体を巻き込んだ大変白熱した内容になりました。改めて10年やってきたことの持つ意味を自覚することもでき、有意義なものになったと感じています。

次の10年へ向けて

多くの方にご参加いただき、10周年という節目にふさわしい集いにすることができました。
参加いただいたみなさんはもちろん、当日は参加できなかったけれどもと応援メッセージをくださったみなさん、一緒に活動してくれているメンバーには本当に感謝しています。

この場で得ることのできたエネルギーを糧に、次の10年をもっと充実した活動にしていくことを目指し、博物俱楽部では新たに「理念」を定めました。「新たに」と書いたもののいずれも今回初めて決めたことではなく、これまで大事にしてきたことを改めて文字にしたものです。今回のイベントで聞くことのできた声、交わすことのできた会話を振り返ると、この理念で謳っていることは、これからの私たちにとって核になるものだと強く感じています。

博物俱楽部の次の10年を、どうぞお楽しみに!

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