【活動報告】大人のサイエンス・ラボ第7回 大人だから気になる「色」のふしぎをお届け「紅花を使った紅色染め」&「石から絵具をつくろう」

博物俱楽部は7月12日(土)、ギャラリーキッチンKIWI(中央区日本橋本町)で「第7回大人のサイエンス・ラボ 日本橋」を開催しました。
今回は東京国立博物館で開催した「色」にまつわる2つの企画をさらにブラッシュアップし、科学と文化を横断したまさに「博物」というべき内容になりました。

第1部では前回青木正明先生にご指導いただいた「紅花を使った紅色染め」を、初めて博物倶楽部独自に開催しました。第2部の「石から絵具をつくろう」は今年1月にも大人向けに実施していましたが、今回は初めて藍銅鉱を扱うとともに、鉱物の特徴や絵具の使われ方の歴史に関するレクチャーを大幅に充実させました。

紅花をめぐる、古くて新しい知恵と謎

第1部「紅花を使った紅色染め」は、古くから非常によく知られた紅花染を体験してもらいながら、紅花をめぐる文化的な背景や、染色の科学的な仕組みをお話するプログラムです。
博物倶楽部のプログラムはレクチャーから入ることも多いのですが、今回は体験しながら目の前で起きている現象を観察していただくところから始まりました。「紅色染め」なのに赤い色が出てこない?途中で出てきた泡はなんだろう?と、不思議を感じながらワークが進みます。

紅花の色素をハンカチにもみ込むのは最も重要な作業ですが時間もかかることもあり、作業をしながら日本での紅花の需要の歴史をご紹介していきました。会場となった日本橋の周辺にも、江戸時代には紅花問屋があったというこぼれ話も。
最後にはひとりひとり個性の出る素敵なハンカチが出来上がりました。

ハンカチを乾かしている間に発生した現象を振り返り、染色の科学的な仕組みをお話するとともに、もう一歩進んで紅花を精製してできる化粧の「紅」がどのようにできるのかもご紹介しました。
驚くのは化学の知識を持っているわけではなかった昔の人々が、身の回りのものを使って染色や精製などの高度な技術を重ねていたことです。中には最近になってようやく仕組みが解明されたものや、未だにどうしてこうなるのかわからないものも。
今回はお試し実験として紅を作る作業で起きる現象も再現し、参加者のみなさんもスタッフも一緒になって大いに盛り上がりました。

理想の色を追い求めて

第2部「石から絵具をつくろう」は岩絵具をつくる工程を追いながら、顔料とは一体何なのか、岩絵具になる鉱物はどんなものなのか、そして日本で岩絵具をつくるのにつかわれる材料はどんなものだったのかを知るワークです。
100円ショップにも絵の具が置かれる時代、絵具の作り方や人々が絵の具を手に入れるためにしてきた苦労は、感じづらくなっているように思います。当たり前ではなかった絵の具という材料の正体を考えるところから、プログラムは始まりました。

自然史博物館に行くと色とりどりの鉱物が展示されていて、これを絵の具にできたらどんなに素敵だろうと想像力が刺激されますが、実は絵の具にできるのはほんの一部です。
鉱物の特徴の違いを目と手で体感しながら、かつての人々が理想の絵の具、理想の色を追い求めて行ってきた様々な工夫やこだわりについてもお話しました。

今回は、これまでで初めて藍銅鉱を取り上げました。
鉱物の持つ性質から砕いたものが手に入りづらいため、標本として販売されていたものを砕くというある意味でスリリングな内容には、来場者からどよめきが上がりました。孔雀石と藍銅鉱は性質が近いため混ぜ合わせて色を調合した歴史もあるということで、実際に試してみる場面も。

最後はスタッフが用意したラピスラズリや弁柄なども使って、自由な作品作りを行いました。

この2つのワークショップは、実施すればするほど色と光の奥深い世界に触れられるように感じています。今後もマイナーチェンジや新しい挑戦を試みながら、育てていきたいです。
大人のサイエンス・ラボでは、大人が本気で楽しむワークショップイベントを開催していきます。新しいネタはもちろん、みなさんのご要望にあわせてリバイバル開催も行う予定です。
どうぞご期待ください!


今回の講師紹介

「紅花を使った紅色染め」講師

今回「紅花を使った紅色染め」の講師を務めたのは、鈴木結花です。
学生時代は古生物学を学びました。現在は人文系の博物館に勤務する傍ら、趣味で博物倶楽部に参加しています。仕事と趣味の垣根がなくなってきましたが、好きなことなので楽しんでいます。私自身、まだまだ知らないことだらけなので、ワークを通じて皆さんと一緒に学べたら嬉しいです。

紅花を使った紅色染め」講師

「紅花を使った紅色染め」のもう一人の講師は、博物俱楽部 化学担当の松下稜です。学生時代は新規核酸ペプチドの化学合成について研究。現在は化学メーカーにて研究員として勤務の傍ら、博物俱楽部で物理や化学のプログラムを担当。好きな仏像は蔵王権現。いつか人文科学系のワークショップもしたいと画策中。「身の回りのものであっと驚く実験を提供しつつ、そこから垣間見える現代化学につながるトピックも紹介していきたいと考えてプログラムつくりをしております。化学は決して暗記科目でもなく、教科書上のものでない生き生きとした瑞々しいものであることを体感していただければ幸いです。」

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「石から絵具をつくろう」講師

今回「石から絵具をつくろう」の講師を務めたのは、荒尾桃香です。人文系の人間で鉱物は専門ではありませんが、自然史博物館を中心に連れ回されたこと、高校で化学を選択したことなどが合わさって興味を持つようになりました。 パリの国立高等鉱業学校の中にある鉱物博物館に行ってみたいです。
「専門ではないからこそ、わからないことや不思議に思ったことは時間の許す限り調べ尽くすつもりでやっています。毎回少しずつアップデートできるようがんばります。」

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