【活動報告】大人のサイエンス・ラボ第5回 光をテーマにした2企画「ペーパークラフト分光器で光を分析」&「カメラ・オブスキュラ」

博物俱楽部は8月30日(土)、ギャラリーキッチンKIWI(中央区日本橋本町)で「第5回大人のサイエンス・ラボ 日本橋」を開催しました。

今回はどちらの部でも「光」をテーマにしたプログラムを実施しました。1部で実施したのは、ハードな工作と精密な分析を楽しめる「ペーパークラフト分光器で光を分析」です。カッターや鋏で厚紙を切りぬいて作る分光器は観察した光の波長を測定できる優れものです。作成後にはさまざまな光を実際に観察してもらいました。2部では先日新宿サイエンスちょこっとラボでも実施した「カメラ・オブスキュラ」を、大人向けにより深掘りしました。手作りしたカメラ・オブスキュラを外で実際に使ってみたり、大型のカメラ・オブスキュラを使って西洋の画家たちのように絵をトレースするカプリッチョ体験も行いました。
いずれも2時間のプログラムとして準備したものの大人の本気のすごさを改めて感じ、もう少し時間をとってもよかったかもしれないとも思いました。

自作の装置で光を調べる愉しさ

今回の第1部「ペーパークラフト分光器で光を分析」は、身の回りの光を分析するための装置を自分の手で作ってしまおう!という意欲的なプログラムです。講師の田代さんは自ら分光器を設計し、メンバー間のお試しや子ども向けの実施を重ねながら、内容を熟成させてきました。
トークの中では、企画そのものやキット作成でのこだわりについても触れられていました。

厚紙から鋏やカッターを使って本体を切り出していく本格的なペーパークラフト!
久々にゴリゴリの工作で手を焼きながらも、みなさん楽しそうにお話しながら参加されていたのが印象的でした。

最後は作った分光器で実際に光を観察!また観察する光でできる分析や身のまわりのものの意外な発光について、松下さんからレクチャーがありました。
実は今回いろいろな種類の光で試してみようとサンプルをたくさんご用意したのですが、残念ながら時間切れ。次回はもう少し時間をとって、じっくり観察ができればと考えています。

カメラの世界に、多角的に迫る

第2部はカメラの仕組みや歴史のトークに加え、カメラ・オブスキュラの作成、大型のカメラ・オブスキュラでのカプリッチョ体験まで盛り込んだ欲張りプログラム!
まずは講師の磯貝さんからカメラ・オブスキュラの仕組みや歴史についてのお話。美術系で生物への造詣も深いことから、単なるカメラの仕組みにとどまらず多角的な内容でした。

ここからは2班に分かれ、カメラ・オブスキュラの自作とカプリッチョ体験を交互に行いました。
こちらも磯貝さんが自ら設計したオリジナルのもので、試作を重ねて作りやすい工夫を加え、今回の形になりました。
気持よく晴れていたこともあり、参加者のみなさんは作ったカメラ・オブスキュラを持って外へ!スカイツリーや通りの車などを見て楽しんでいました。

カプリッチョ体験ではもう1人の講師の森さんから、カメラ・オブスキュラの使い方について改めてご紹介。ここで使っている大型のカメラ・オブスキュラも、森さん自身が作成したものです。
カプリッチョとは実際の風景をごちゃまぜにして架空の風景を描く絵のことです。今回はカメラ・オブスキュラを使い、名画をトレースして体験してもらいました。

博物倶楽部では引き続き、大人が本気で楽しむワークショップイベントを開催していきます。
今後もぜひ多くのみなさんにご参加いただければ幸いです!


今回の講師紹介

「ペーパークラフト分光器で光を分析」講師

今回「ペーパークラフト分光器で光を分析」の講師を努めたのは、博物倶楽部 物理担当の田代祐徳です。学生時代は地学を専攻、その後土木技術者をしていました。とあるきっかけで物理学と留学に興味を持ち、仕事を辞めて国内の大学に入り直し物理学を、留学先で気象学を学びました。現在は大気・海洋・海底地質の観測技術者をしています。今回の分光器は、2019年に大学の物理学実験で光の波長を計算する方法を学び衝撃を受けたことがきっかけで、2年かけて設計しました。
「お金をかけずに本学的なサイエンスの世界を多くの人に楽しんでもらいたいという思いでやっています。原子から太陽まで、分光器でその秘密を探っていただければ幸いです。」

「ペーパークラフト分光器で光を分析」講師

「ペーパークラフト分光器で光を分析」のもう1人の講師は、博物俱楽部 化学担当の松下稜です。学生時代は新規核酸ペプチドの化学合成について研究。現在は化学メーカーにて研究員として勤務の傍ら、博物俱楽部で物理や化学のプログラムを担当。好きな仏像は蔵王権現。いつか人文科学系のワークショップもしたいと画策中。
「身の回りのものであっと驚く実験を提供しつつ、そこから垣間見える現代化学につながるトピックも紹介していきたいと考えてプログラムつくりをしております。化学は決して暗記科目でもなく、教科書上のものでない生き生きとした瑞々しいものであることを体感していただければ幸いです。」

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「カメラ・オブスキュラ」講師

「カメラ・オブスキュラ」を担当したのは博物倶楽部 生物・美術担当の磯貝愛々花です。子どもの頃は『学研の科学』や『プレヒストリックパーク」に夢中で、古生物から現生生物への進化を知るのが大好きでした。高校・大学では建築やインテリア、空間デザインを横断的に学び、シルクスクリーンや染色、立体アニメなど多様なものづくりを食べ歩きました。卒業後は影絵人形劇団で光や影と向き合い、現在は建築模型制作会社で植栽と向き合っています。趣味では、生物進化の歴史を得意なアートで表現すべく絵本『5300万年の想い出』を出版。
今回の「カメラ・オブスキュラ」も光学×アートの表現の一環です。
眼の誕生が劇的な進化を促したという「光スイッチ」説のロマンを一緒に味わっていただくために企画しました。

「カメラ・オブスキュラ」講師

「カメラ・オブスキュラ」もう1人の講師は、博物俱楽部 植物担当の森智寛です。学生時代は千葉県の藻類の生育状況について調査。現在は環境調査会社で勤務の傍ら、博物倶楽部で植物のプログラム、広報の撮影係を担当。植物の構造と観察の面白さを伝えるワークショップを企画中。顕微鏡観察が学校での一番の楽しみでした。
「生物観察の楽しさをワークショップを通じて皆さんと共有できればと思います。」
今回、機材を木工で再現し「レンズで映る像は明瞭になり作画に有用である」という『自然魔術』での記述を実証することができました。

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