博物館を外側から応援する立場から「ミュージアムのいま」を考えるイベント「ミュージアム放談」が始動しました(主催:一般社団法人 路上博物館、早稲田大学博物館支援サークル ミュゼさぽ、博物倶楽部)。第1回は7/6(日)に京橋プラザ区民館で、「閉館する博物館の調査と課題」をテーマに開催しました。
アーカイブ視聴を含め40名近い申込みがあり、実際の会場では15名ほどが議論を交わしました。
当日の動画は、以下で公開しております。
「閉館」という、わかりやすく厄介な沼
まずオープニングトークとして路上博物館の齋藤さんから、「閉館する博物館の調査と課題」について報告がありました。
調査は「なんとなく閉館している数が増えてるんじゃないか」という問いを起点に、閉館数のインターネット調査、実際に閉館した館の職員へのインタビュー、閉館する博物館のデジタルデータ化という3つの軸で構成されています。いずれも個別でレポートがまとめられそうな充実した内容ですが、全体を通した報告書を現在執筆中とのことです。

今回とりわけ多くの課題が挙げられたのが、閉館数の調査です。
一見すると基本情報の整理だけのようですが、調べてみると「閉館」という言葉のあいまいさが見えてきます。例えば、「『休館(再開館未定)』とどこが違うのか」「いつの時点で『閉館』というのか」といった疑問が噴出するのです。
また「どこまでを博物館と捉えて情報を収集するのか」という、博物館の定義に至る問いも生まれてきました。
博物館がニュースになることは多くありませんが、「閉館」は一般の方々にもわかりやすい話題のため、報道でもよくとりあげられます。しかし実際に調査してみると、見えていなかった問題がたくさんあることが提示されました。
この発表に対し、既に多くの意見や質問が会場から上がりました。

白熱したトークセッション

当初はオープニングトークのあと、齋藤さんとミュゼさぽの山口さん、博物倶楽部の島津の3人によるトークセッションを挟んでから、会場全体で議論する予定でした。
しかし会場の熱量の予想以上の高さから、山口さんと島津からは簡単な感想の共有にとどめ、全員で議論ができるフィッシュボールを行うことになりました。

フィッシュボールは会場中央に用意した椅子に発言したい人が交代で座って議論するワークショップで、その場にいる人全員が発言できます。
「閉館」の話題に囚われることなく、「今の時代の博物館」の議論になっていたのが印象的でした。
「博物館が大事にすべきなのはモノなのかヒトなのか」「資料はデジタルデータで代替できるのか」「社会や地域の中での博物館の役割は何なのか」「金の切れ目は博物館の切れ目なのではないか」……多くの問いや違和感、視点や希望が示された楽しい時間になりました。

最後に齋藤さんから、今後の抱負とともに「やばいものに手を出してしまったなあ」というストレートな感想が笑。
とはいえ「やばいもの」という言葉に感じられたのは後ろ向きな気持ちではなく、ワクワク感や高揚感のような前向きな感覚でした。私見ですがこの前向きな感覚こそが、これからの博物館をもっと面白くする原動力になると思います。
「博物館の周縁から、博物館を考える」意義
公平な目で見れば今回の調査もこの会の議論も、学芸員や博物館研究者の方々からすると乱暴で無責任な内容と感じられる側面があるのは否定できません。「博物館の外の人間が、勝手なことを言っている」という批判もあると思います。
しかしそれでも今回、「博物館の周縁から、博物館を考える」意義を、改めて感じました。
毎週のようにミュージアムを訪れる人でも、普段は博物館の現在の問題や未来像を意識していないという方がほとんどではないでしょうか。もちろんミュージアムが持つ問題は、学芸員や研究者以外には関係ないという考え方もあると思います。
一方で現在は、「来館者以上/博物館職員未満」という立場で博物館に関わる人も増えてきました。そうしたミュージアム周縁の人たちが「博物館を考える」機会を持つことは、これからもずっと博物館を楽しんでいくためにプラスに働くはずです。
「ミュージアム放談」が、そうした場の一つになることができればいいなと考えています。
そしていつかミュージアムの内外を問わずそれぞれの立場の人々が、一緒により楽しい未来を描く場を作れたら、こんなに素敵なことはないと思うのです。
まだ始まったばかりで粗削りの活動ですが、これからも温かく見守っていただければ嬉しいです。
※ 路上博物館・齋藤さんの「閉館する博物館の調査と課題」に関するレポートは、後日公開予定です。
※ 次回の「ミュージアム放談」は、ミュゼさぽさんを中心に開催したいと考えています。こうご期待!

