博物俱楽部は4月26日(土)、ギャラリーキッチンKIWI(中央区日本橋本町)で「第4回大人のサイエンス・ラボ 日本橋」を開催しました。
今回1部では長年子ども向けに実施していた「意外なヨウ素でんぷん反応」を、大人向けのハードな内容で実施しました!定番のヨウ素でんぷん反応の実験に加えて、自分の手で作る分子模型や現代化学のレクチャーもご用意したてんこ盛り企画になりました。
2部は昨年12月京都で大人気を博した「デスモスチルスの旅」。2時間のプログラムとして準備しましたが、参加者の皆さんの集中力で今回も白熱し、30分のエキストラタイムが出るほどの盛り上がりでした。
大人も知らない「意外なヨウ素でんぷん反応」


1部で実施した「意外なヨウ素でんぷん反応」は、小学校の理科で必ず行う、あのジャガイモの実験がベースになっています。キッチンでよく見かける3種類の粉にヨウ素を垂らすと……おや?昔の記憶と違う色が。そもそもどうしてこんな色が出るのかしら?という仕組みの話からスタートしました。



今回新たな試みだったのは、色が出る仕組みを知った後、グルコースを手作り分子模型で再現してみようというワークです。自分の手で作ることで、図や説明だけではイメージできなかったことも頭に入ってきます。


更には身近な意外な材料が示すヨウ素でんぷん反応の様子の観察や、今回使った身近な材料が実は分子マシンや分子コンピューターといった現代化学の世界でも使われているというレクチャーも行いました。

今回は、実は初めて講師2人のコラボだったのですが、コンビ企画のこれからの可能性も知ることができたように思います。
「デスモスチルス」と旅して知る、化石発掘から復元


2部で実施した「デスモスチルスの旅」は、化石の発掘から修復、復元模型の作成までをギュギュッと2時間で体験しようというプログラムです。「地層」の中に埋もれている「化石」を「発掘」するところからスタートします。



デスモスチルスについての紹介も挟みつつ、発掘した「化石」を今度は粘土で修復します。京都でもそうだったのですが、久々に粘土に触れる大人たちの本気ぶりが凄い……!!これでワークは終わりではないのですが、多くの皆さんがまずここで黙々と作業に打ち込みます。


最後は修復した頭骨に肉付けします。最近は3Dプリントの技術も発達してきているので、出力したものに肉付けしてもらうこともできるのですが、それでは復元の現場でなされていることの一部しか体験できないと考え、敢えて手のかかる体験をご用意しています。

最後はそれぞれのデスモスチルスを手に記念写真を撮りました。毎回色々なデスモが出来上がるのがとても楽しいです。
【今回の講師紹介】

「意外なヨウ素でんぷん反応」講師
今回「意外なヨウ素でんぷん反応」の1人目の講師を務めたのは、博物俱楽部 最初期からのメンバーである大谷明寛です。学生の頃は果樹園芸を学んでいましたが卒後はまったく関係のない仕事に付いたので 個人的に博物館などを回ったり興味に任せてほぼ趣味の様に科学分野をまなび科学博物館の教育ボランティアをへて現在に至ります。基本的には生物屋なので 土壌動物や変形菌に興味を持っています。

「意外なヨウ素でんぷん反応」講師
「意外なヨウ素でんぷん反応」のもう1人の講師は、博物俱楽部 化学担当の松下稜です。学生時代は新規核酸ペプチドの化学合成について研究。現在は化学メーカーにて研究員として勤務の傍ら、博物俱楽部で物理や化学のプログラムを担当。好きな仏像は蔵王権現。いつか人文科学系のワークショップもしたいと画策中。「身の回りのものであっと驚く実験を提供しつつ、そこから垣間見える現代化学につながるトピックも紹介していきたいと考えてプログラムつくりをしております。化学は決して暗記科目でもなく、教科書上のものでない生き生きとした瑞々しいものであることを体感していただければ幸いです。」
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「デスモスチルスの旅」講師
今回「デスモスチルスの旅」の講師を務めたのは、博物俱楽部代表の島津斉明です。
学生時代から博物館学に関心を持ち、都内の博物館でボランティアをしてきました。館を離れたのち、在野のボランティア団体 博物倶楽部を結成し、プログラム作成やありとあらゆる雑務をこなします。好きな館はトゥールーズ自然史博物館。
「化石発掘から復元の課程全体を、作業を通じて体験できるワークにしたいと思いました。目の前にある展示は、当たり前にあるのではなく、研究者や芸術家の「仕事」の成果であることを感じていただけたらと思います。」